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第1話 エンジンの話し

皆さんご存知の通りほとんどの自動車にはエンジンが付いています

普通はカギを回せばかかるエンジンですが、結構奥が深いんですよ(^_^)/~

エンジンの種類

エンジンにも色々な種類があるのを、ご存知ですよね。

まずはその形式ついてまとめてみました。

形式

バルブ機構

構造

コメント

4ストローク

 

 

OHV

初期のエンジン形式でエンジンのサイドにカムシャフトがあり、これからロッド/ロッカーアームを介して、バルブを開閉します。

しかしカムシャフトからバルブまでの部品の慣性重量によってタイミングがずれる為、高回転は苦手です。

ちなみにFIAT君のエンジンはこの形式でした。

OHC

現在の一般的なエンジンです。

カムシャフトはヘッドの上に移動しロッドは無くなりましたが、ロッカーアームを介してIN/OUTのバルブを1本のカムシャフトで開閉するので、やはり慣性重量の影響で高回転が苦手です。

左図では給排気のバルブ位置がクロスフローですが、一般的にはカウンターフローが多いようです。

DOHC

トレノ君に搭載されているのが、この形式のエンジンです。

IN側/OUT側とカムシャフトは別々に2本となります。

バルブは直接押さえられる為、バルブ以外の慣性重量の影響は受けません

その為OHCエンジンに比べ、高回転まで回すことができます

呼び方も”ディーオーエイチシー”とか”ツインカム(Twin-came)”と呼ばれています。

またバルブ数によって2バルブとか4バルブDOHC等の区分けもあります。

2ストローク

今じゃ自動車にはほとんど搭載されていないエンジンです。

バルブが無くシリンダーのサイドにポート(穴)が開いており、ここから給排気をします。

また4ストロークエンジンの場合1工程をクランク2回転で行うのに対して、2ストロークの場合はクランク1回転にて行うため、同排気量の場合は高出力を得ることができます。

ロータリー

マツダの自動車にのみ搭載のエンジンです。

オムスビ型のローターがシリンダー内にて回転しています。

こちらはローター1回転にて3回(だと思う)爆発しているので、少ない排気量で高出力を得ることができます。

このエンジンも魅力的です。

これは一般的な内容で、昔のA型エンジンはOHVですが10000回転まで回るようになるので、この限りではありません。

しかし4ストロークエンジンの場合、理論的にはDOHCが最も効率が良い筈です。

4ストロークDOHCエンジンの構造

それではトレノ君の心臓である4ストロークDOHCエンジンの解説です。

まずは図で全体のイメージを持って下さい。

ピストンの上下に伴いクランクシャフトが回転し、この回転がチェーン等で伝達されカムシャフトが回転します。

回転したカムシャフトのジャーナル部が楕円形となっているので、そのプロファイル(形状)によってバルブが押し出されます。

カムシャフトによって突き出されたバルブはカムシャフトが元に戻れば、スプリングによって戻ってきます。

実際にはもっと部品があるんですが、基本はこんな感じです。

4ストロークDOHCエンジンの動作

4サイクルエンジンの場合はクランク2回転にて吸気→圧縮→爆発→排気を行うので、実際の動作はちょっと複雑です。

解説します。

ここからエンジンが回り始めます

ピストンは上に上がりきっており、

このポイントを”上死点”と言います。

クランク角度 90°

この辺で吸気バルブが全開となります。

吸気バルブからは、空気とガソリンが

混じった混合気が入ってきます。

クランク角度180°

吸気バルブが閉じます。

これで吸気が完了します。

ちなみにこのポイントが

”下死点”です。

クランク角度 270°

吸気された混合気が圧縮されます。

当然バルブは閉じています。

クランク角度360°

圧縮された混合気にプラグから点火

されます。

ここからがクランクが2周目の回転に

なります。

クランク角度450°

爆発した混合気が膨張してピストン

を押し下げます。

この力がクランクに伝わりエンジン

パワーになる訳です。

クランク角度540°

爆発した混合気を排気する為に

排気バルブが開き始めます。

クランク角度630°

ピストンが上がってきて排気ガスを

排気バルブから排出します。

クランク角度720°

これで1工程が終わったわけです。

このピストンの上下タイミングに合わせて効率良くバルブが開閉できるように、カムシャフトを回転させる必要があります。

理想的な吸/排気

それでは理想的な吸/排気とは、どの様なものでしょう?

基本的にはエンジンは、吸気した混合気の多さによってパワーが出てきます。

たとえば2000ccのエンジンでも吸/排気効率が50%では1000cc分の空気しか吸えず、結果的には1000cc分のエンジンパワーしか出すことができません。

(ちなみにターボの場合は2000ccのエンジンに過給圧1.5をかければ、3000ccの混合気を吸い込む事ができパワーを出す事ができるわけです。パワーが出て当然)

吸/排気する力はピストンが上下する圧力によって発生しており、ぶっちゃけた話しバルブが”大きく/長い間”開いているほどエンジンパワーが出る訳です。

しかしバルブにはもう1つ重要な機能として爆発時の燃焼室の密閉があり、闇雲にバルブを開けば良いと言う訳ではありません。

結果的には、最適値があるわけです。

カムシャフトに必要な特性

まずは吸/排気効率を良くする為の、カムシャフトに必要な特性です。

リフト量

バルブを押出す量を決定します。

押出す量が多いほど、バルブが大きく開く訳です。

作用角

バルブの開き始め〜終りまでの角度です。

当然これは大きいほどバルブが開いている時間が長くなる訳です。

プロファイル

山の形状になります。

開き始めは短い時間で開くほうが良く、逆に閉じる方はスプリングの戻り力によるバルブシートへのダメージを減らす為に、穏やかな形状が良いみたい。

したがって左右非対称です。

どの特性もより大きく/長い時間バルブを開く事ができるようにする訳です。

ノーマルのカムシャフトに対して、通称”ハイカム”と言われています。

当然吸気/排気毎に最適値があり、別々の特性が必要になる訳ですが、DOHCの場合吸/排気毎に別々のカムシャフトなので、この組み合わせによって簡単に変更する事ができます。

とは言っても素材から削りだした物が、当時1本数万円はするので、そんなに頻繁に変えれるものでありませんでした。

またノーマルカムのジャーナル部を削って作る”加工カム”もありましたが、クリアランス調整をする為の”シム”が厚いものが必要なので、これはこれで大変だったようです。

最適タイミング

続いてピストンとバルブのタイミングです。

吸/排気はピストンの上下による負圧によって行います。

そこでこのピストンの動作に合わせてバルブを開閉する必要があります。

吸気圧力としては上/下死点付近のピストンスピードが遅い時には、吸気圧力が低くなります。

ピストンスピードが最も早いのはピストンストローク中心の90°辺りとなり、この時の吸気圧力が最も高くなります。

吸気効率を考えたらこの吸気圧力の高い付近を中心にバルブを開ければ良い訳です。

したがってバルブ開度100%のポイントをクランク角90°付近にするのが吸気効率が最も良い訳です。

理論的なバルブタイミング

以上の点を配慮して理論的なタイミングをグラフにして見ます。

  IN OUT  
作用角

180°

180°

上/下死点の範囲で、バルブを開けます。
タイミングセンター

90°

90°

バルブが最も開いているポイントです。
オーバーラップ

0°

この説明は後ほど・・・

最初はグラフが見にくいと思いますので、解説します。

吸気

クランク角度0°からIN側のバルブが開き始め、ピストンスピードが最高の90°の時点で最もバルブが開き、その後バルブが閉じ始め180°の時点で閉じます。

圧縮

続いて180〜360°の時点はIN/OUT共にバルブが閉じており、吸気された混合気が圧縮されます。

点火

圧縮された混合気に360°の時点でプラグによって点火

2周目の0〜180°の間もバルブが閉じており、この爆発力がエンジンパワーとなります。

排気

2周目の180°の時点からは今度はOUT側のバルブが開き始め排気を始め、270°で最大開度となり、360°の時点で閉じます。

以上で1工程の”吸気→圧縮→点火→排気”が終わったわけです。

理論的には上記の内容にて、バルブを開閉すれば良い訳です。

配慮すべき物理法則

理論的には上記の内容で良いんですが、実際はこのままでは最適とは言えません。

その理由としては何点かの物理法則?が、理論的な最適値に対して邪魔をするからです。

★慣性の法則・・・かな?

空気も質量を持った物体です。

これをエンジン内に吸い込むんですが、当然質量があるものを移動しようと思うとすると遅れてしまいます

エンジンが低回転の場合は良いんですが、高回転になると1工程を”0.005秒程度”で行う訳なので、吸い込む前にバルブが閉じてしまいます。

そこで実際には作用角をもう少し大きくする必要があります。

★力量の法則・・・かな?

先ほどは点火時期は360°にて行うと書きましたが、実際にはこのタイミングで点火してしまうと爆発力は真下に発生してしまい、クランクの回転力になってくれません。

そこで実際の点火時期は上死点を経過して10°辺りに設定するのが一般的です。

ちょっと話しがずれますが、点火時期が早すぎると発生する”ノッキング”(エンジンからチリチリという音がします)とは、この真下に発生する力が早すぎて発生します。

このままではエンジンは壊れてしまいます。

この為にバルブタイミングも若干+側にシフトする必要があるようです。

以上の内容(もっとあるのかも・・・?)を配慮し、実際のバルブタイミングが設定されます。

実際のバルブタイミング

それでは2T-Gエンジンの実際のバルブタイミングです。

  IN OUT コメント
作用角

248°

248°

何種類かの作用角があるようです。
タイミングセンター

96°

104°

純正のタイミングはです。誰か教えて・・・
オーバーラップ

48°

IN/OUTのバルブ共に開いている範囲です。

IN/OUT共に作用角が248°と大幅にUPしており、これはよりバルブを開いている時間を伸ばしたい為です。

180°で閉じていたINバルブですが30°程度開いているタイミングが増え、遅れた空気を吸い込んでいます。

またタイミングセンターも90°に対して96°と若干+側にシフトしています。

OUTバルブもほぼ同じ考え方で動いている訳です。

結果的には大幅にバルブが開いている時間が多くなりました。

またここで着目したいのがオーバーラップの部分です。

これはINバルブが0°の前より開いておりOUTバルブが2周目の360°を超えても開いている、いわゆる両方のバルブが開いている状態です。

この辺はまだ理解でしていないんですが、どうやら吸気の勢いで排気効率を上げているのようです。

しかしあまりにもオーバーラップが大きいと、排気が吸気側に戻る”吹き返し”が発生してしますので良くないようです。

これが最適・・・?

実際のバルブタイミングはこれで理解できたと思いますが、これが最適なんでしょうか?

実は先ほど書きましたがエンジンの回転数が上がるほど吸/排気のスピードが必要になりますが、よりパワーを出そうと思うとより高回転まで回す必要があります。

(ちなみにエンジンの1工程で発生するのトルクは同じ訳ですから、より高回転で回せばパワーが出るわけです。)

その為に高回転での効率を上げる為、吸/排気の遅れに対して最適にする必要があります。

そこで私のトレノ君のバルブタイミングは、変更されています。

  IN OUT

コメント

作用角

304°

288°

INとOUTで作用角が違います。

また作用角もかなり大きくなっています。

タイミング

96°

104°

現状のタイミングは?です。

調べると、どうやらこの辺がベストらしいです。

オーバーラップ

96°

ノーマルに比べかなり大きくなっています。

IN/OUTバルブとも大幅に開いている時間が増えますが、高回転時にはここまで開けていないと混合気が吸い込めない訳です。

しかしこのバルブタイミングでは逆に低回転時には大きな問題が発生します。

たとえば圧縮の始まる180°以降なんですが60°もの間バルブは開き続けしまい、逆に低回転ではせっかく吸い込んだ混合気の圧縮漏れを起こすわけです。

結局低回転ではパワーダウン(効率悪化:具体的には燃費の悪化等・・・)を起こしてしまいます。

グラフにすると、こんな感じです。

ノーマルカムは低回転から安定したパワーが得られますが、高回転では頭打ちをしてしまいパワーが出ません。

逆にハイカムの場合低回転時にはパワーダウンしてしまいますが、高回転では効率が上がり大幅なパワーアップする訳です。

結局どちらにもメリット/デメリットがある訳です。

その対策としては最近の車では”可変バルブタイミング機構”が付いている車があります。

これは回転数によって自動的にバルブタイミングを変更する事によって低回転から高回転まで理想的なパワーを出す事ができる訳です。

ちっと反則かな・・・

しかし当然トレノ君にはこんな機能は無く、パワーを出す為には低回転を犠牲にしてまでもハイカムを入れて高回転のパワーを搾り出していた訳です。

トレノ君はどうなのか・・・?

エンジンの形式の紹介から始まってバルブタイミングまで説明してきた訳ですが、実際のトレノ君はどうなんでしょうか?

My TRUENOのページでも書きましたがトレノ君のエンジンはかなり手が入っています。

今回説明したハイカムは当然ですが、エンジンのキャパシティUP/クランク,フライホイールの軽量&バランス取り等、一通り手が入っているので一概にハイカムの効果がどうこうと言えない所があります。

とにかく高回転まで(まだ7000rpmぐらいしか回してませんが・・・)気持ちよく回ってくれます。

またハイカムの弱点である低回転ですが2000rpm以下はさすがに若干ぐずりますが、2リッターにキャパシティUPしている事もあり、走れないわけではありません。

ハイカムの特徴は燃費に出ているようです。

福岡からの帰りの高速道路の走行では12km/L以上の燃費を記録したトレノ君ですが、通勤の町乗りでは6km/L台に落ちてしまっています。

やはりハイカムにより低回転時の効率が大幅に落ちているようです。

しかし当然この高回転時のフィーリングは捨てがたく、麻薬みたいなものです。

最後に

普通の車(トレノ君は異常・・・?)に乗っていれば必要の無い知識でしたが、自分なりにまとめてみるとエンジンて良くできているなと思いました。(トレビアの泉かも・・・)

すでに基本的な事は数十年前には完成されていた訳ですから、大したものだと思います。

逆に最近やっとハイブリット車が実用化された訳ですが、何時になったら空飛ぶ自動車が実用化されるんでしょうか?

またそうなったらトレノ君はどうなってしまうんでしょうか・・・?

まあ私が免許証を返上するまでは大丈夫かな(^_^)/~

付録

バルブタイミングのグラフを表示するExcel Dataを作ってみました。

皆さんも自分の車のバルブタイミングをグラフ化してみよう。

え〜 そんなの必要ないって・・・普通はね(^_^)/~

valve_timing.xls      

Excelがインストールされていれば、そのまま動きます。

またマウスのBクリックで「ファイルの保存」でダウンロードもできます。

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