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第5話 バルブタイミングの話し

カムシャフト度数疑惑も無事解決できたわけですが、バルブタイミング調整をする為にはもう一つ問題があります。

今回カムシャフトの確認をした時に気が付いていたんですが、カムスプロケットがノーマルのようです。

このままでは微妙なタイミング調整ができません。

何故なんでしょう・・・今回はこの辺のお話しです(^_^)/~

カム駆動方式

第1話のエンジンの話しで書きましたが、カムはピストンの上下に合わせて回転しています。

この駆動方式には何種類かの方法があります。

今のエンジンの場合はほとんどがコグベルト(歯付きベルト)を使っているかと思いますが、トレノ君に搭載されている2T-Gの場合はチェーンにて駆動されています。

クランクに取り付けられたチェーンスプロケットから一旦中間スプロケットとの一次側(黒点線)にて減速された後に、カムスプロケット側の二次側(赤点線)へと回転は伝わります。

一次/二次側共にチェーンにて伝達されえる為に、一旦決められたタイミングがずれる事はありません。

ちょっと話しはずれますがこのチェーン駆動だとチェーン質量のフリクションロスがあり、これが最適とは言えません。

その為最近の車はチェーンに代わってコグベルト(ゴムなので軽い)が使われている訳ですが、この対策としてギアを組み合わせて直接駆動する方式もあります。

初代スカイラインに搭載されていたS20エンジンは当時のレーシングカーに搭載されていたエンジンをデチューンされていたそうですが、カム駆動はS20の場合はチェーン駆動でしたが、オリジナルはギア駆動だそうです。

また2TGの場合も一次駆動部分のみをギア駆動に変更するキット(ギアトレイン)もあります。

径時変化(チェーンの伸び)も無くメリットは大きいんですが、ギア特有のノイズがデメリットがあります。(でもこれが良いらしい)

しかし今となっては入手はかなり難しいようです。

ちょっと話しが横道にずれましたが、これらチェーンとスプロケットの歯を合わせる事によってバルブタイミングを調整する訳です。

ノーマルはどうなのかな?

まずはトレノ君についているノーマルの状態を確認します。

カムカバーを取って前から覗くとカムスプロケットが見えます。

カムスプロケットの歯数は24枚となっており、円周の360度÷24歯 =15度/歯となります。

つまりチェーンはそのままで、1歯ずらせばバルブタイミングが15度ずれる訳です。

しかしこれではあまりにもアバウトな調整しかできません。

もう少しカムスプロケット詳しく見てみると、中心の固定用ボルトの周りに3ヶ所の穴が開いています。

どうやらこの辺に秘密がありそうです。

実はスプロケットが空回りしないようにノックピンが入っており、このノックピンとカムスプロケットの穴を合わせる事によって回り止めをしているようです。

つまりこのノックピンと3ヶ所の穴を組み合わせる事によって微妙にバルブタイミングを調整できるようです。

実際に3ヶ所の穴の変更によってどのくらいバルブタイミングが変わるのかは実測していないので分からないんですが、シビアな調整をするのには向いていないようです。

多穴式カムスプロケットの効果

ここで登場するのが上記ノーマルカムスプロケットに対してよりシビアに調整できるようにするのが「多穴式」のカムスプロケットです。

TRDからもオプションとして出ていたようですが、私が入手したのは違うようです。

写真で見ると8ヶ所のノックピン用の穴が開いており、これらの位置を変更する事によってバルブタイミングを変更できるはずです。

しかし良く見ると決して円周に対して均等に開いている訳ではないようです・・・?

ん〜 でも何か意味があるように思えます。

このままでは良く分からないので、カムスプロケットの歯と穴の関係を分かりやすくする為に、線を引いてみました。

(ここからは右の写真をクリック/拡大したのを、見ながら読んでね)

するとノックピンの穴は一見無造作に開けられているようですが、ちゃんと考えられている事が分かります。

歯先を結んだ赤い線とノックピンの穴の中心を結んだ黄色の線ですが、@の穴がスプロケットの歯先に対してすれが最も少なく矢印方向の穴になるほど歯先に対してノックピンの穴の位置のずれが大きくなっている(太い赤線 参照)事が分かります。

つまりカム/チェーンをそのままの状態で、ノックピンに対してスプロケットの穴位置を変えることによってバルブタイミングが変更できる訳です。

正確には入手後に計測(会社の3次元測定機を借りよう・・・)しなければ分かりませんが、先ほどのスプロケット1歯の15度の間に8穴なので、1.8度毎の調整ができるのではないかと思います。

ここまで細かく調整ができれば、シビアなバルブタイミング調整ができそうです。

逆にTRDのカムスプロケットですが、こちらは等間隔で13ヶ所の穴が開いているようですがスプロケットの歯先と穴位置との規則性があまり感じられず(多分等間隔なら計算にて出せそうですが・・・高いし)、材質面ではメリットがあるかも知れませんが、ここまでは必要が無いかも

今回入手のカムスプロケットに規則性が有りそうなので、調整がやりやすいかも・・・

世の中そんなに甘くない・・・

カムスプロケットについてはこれで理解できましたが、実はもう一つ厄介な問題があります。

先ほどのノックピンの位置ですが、どうやらカム側も調整ができるようです。

以前ヤフオクにカムが出品されておりその時の写真を取ってあったんですが、良く見るとノックピンが入る穴位置が7ヶ所もあります・・・

つまりカムスプロケット穴8ヶ所に対してカムの穴が7箇所で、その組合せは56通りもある訳です。

ん〜シビア・・・

これは実測してマトリックスを組まないと分からないかも(~_~)

実際はどうなのか?

ここまでは机上の空論です。

実際のバルブタイミングの確認/調整はこれからです。

せっかくの調整ができる訳なので、ちょっと危ない仕様に挑戦してみようかな・・・

お楽しみに(^_^)/~

カムスプロケット実測

無事火曜日にはヤフオクで購入のカムスプロケットが届きました。

早速開梱して見ると、どうやらノーマルカムスプロケットの加工品のようです。

ノックピンの穴を見てみるとノーマルの穴の4ヶ所にはC面取りがありますが、追加の穴のはありません。

いよいよ今までの理論を証明する為、実測です。

土曜日にこっそり会社に行き、2次元測定機を借りて測ります。

1時間ほど掛かりましたが無事測定終了です。

<結果>

@ 00°22′31″(  0.38°)  追加穴

A 03°00′06″(  3.00°)  純正穴

B 04°25′16″(  4.42°)  純正穴

C 06°30′11″(  6.49°)  純正穴

D 08°29′19″(  8.48°)  純正穴

E 10°22′25″(10.37°)  追加穴

F 12°41′28″(12.69°)  追加穴

G 13°44′43″(13.74°)  追加穴

予測通り、1穴毎に約 2°ずれる事が分かりました。

グラフにすると、こんな感じです。

ん〜 データマニア(?)の私としてはとっても気持ち良い結果です(^_^)/~

スプロケットの歯の位置を変えると、どうなるの

ではカムスプロケットの位置を変えると何故バルブタイミングが変わるのでしょうか?

ここではこの辺の所を説明します。

左の絵はカム/カムスプロケット/チェーンの位置を表しています。

カムはカムスプロケットのBの入っているノックピンにてそれぞれの位置が決められています。

つまりカムスプロケットのBの穴の青い実線と、カムの頂点の点線角度Aに固定されている訳です。

次にカムスプロケットはチェーンにて回転されるんですが、B穴のすぐ左側の歯がチェーンの部分(赤い部分)に、はまっています。

この時カムスプロケットの歯とBの穴の角度が4.42°になります。

 

 

 

いよいよカムスプロケットの位置調整です。

チェーン/カムの位置はそのままで、スプロケットの歯を反時計方向回してDの穴の近くの歯をチェーンの赤い部分に合わせます。

するとチェーンの赤の部分に合せた歯の頂点からDの穴位置は8.48°ずれている為に、カムのノックピンの位置が合わなくなってしまいます。

 

このままではカムのノックピンの位置がずれているので、カムを時計方向に回してカムスプロケットのDの穴に合わせます。

そうするとカムの頂点(センター)は黒の点線から赤の点線の位置にずれます。

ずれる角度は、B穴角度4.42°−D穴角度8.48°で、約4°ずれる訳です。

これでカムスプロケットのタイミングをずらす事ができました。

同様にその他の穴にずらす事によって、初期穴角度との変更穴角度の差分だけタイミングをずらす事ができる訳です。

実際のバルブタイミングはカムスプロケット角度の1/2なので、B→D穴への変更では約2°ずれます。

                 ( ↑S原さん アドバイスありがとうございました。)

実使用方法は ?

この数字が分かると目的のバルブタイミングの調整の目安になります。

たとえば、こんな感じです。

 【現状 仕様】

  ・IN/OUT            :インテーク側

  ・スプロケット穴    :       B

  ・バルブタイミング:      96°

スプロケット穴 @ A B C D E F G
バルブタイミング   94.0°    95.3°    96.0°    97.0°   98.0°   99.0°   100.1°   100.7°

Bの穴に対してDの穴に変更する事によって、タイミングは98.0°に変更される訳です。

しかしこのままでは100.7°以上は調整ができないので、その時にはスプロケットの歯を1歯ずらします。

するとこうなります。

スプロケット穴 @ A B C D E F G
バルブタイミング   101.5°   102.8°   103.5°   104.5°   105.5°   106.5°   107.6°   108.2°

こうすると全体の数字に1歯15°の半分の7.5°が加算される訳です。

逆に1歯戻せば7.5°全体にシフトします。

実際にはチェーンとスプロケットとのガタ等にて精度は落ちますが、目安にはなるはずです。

ちなみにアウトテーク側はカムスプロケット角度が逆になります。

 

これでバルブタイミングの調整は自由自在のはすです(^_^)/~

 

付録2

またまたExcelファイルでスプロケット変更のシュミレーションシートを作ってみました。

 

valve_timing2.xls

 

使ってみてね。

Excelがインストールされていれば、そのまま動きます。

またマウスのBクリックで「ファイルの保存」でダウンロードもできます。