ブカレスト シナイア


 

       6 ヴェリコタルノブ〜ルセ〜ブカレスト〜シナイア

 8時にホテルを出発、ブカレストに向かう。国境の町ルセまで2時間ある。ガイドのアルベナさんは昨日ブルガリアについて何でも結構、紙に書いて質問して下さいとのことだった。爺婆は余り質問しないと思ったが大間違い、何十問も出てきたらしい。アルベナさんは質問を層別して、要領よく丹念に解説してくれた。おかげで2時間は退屈しなかった。  

私は意地悪な三問、ルーマニアはワイアハーネス銀座だが、ブルガリアはまだワイアハーネス工場は少ない。もの造りには工業高等学校教育の充実が必要。農業国から工業国へと旗を振る大統領を選出する。愚問にも真摯な答えに感心した。

今までのツアーで、Q&Aをするガイドは始めて。アルベナさんに褒め言葉を述べたら、「これは私の勉強にもなります」とのこと、改善また改善、さすが東大で研修しただけはある。

 ルセでドナウ川を渡りルーマニアに入国した。アルベナさんにいろいろお世話になった礼を述べて、余分なことだが「ガイドもよいが、勿体ないな、アルベナさんの能力をフルに発揮してほしい。政治家になりブルガリアの再生を目指したら。サッチャー、メルケルさんみたいに」と言った。彼女は苦笑いしていた。ブルガリアの政治家トップはなぜか不幸にも命を落としているケースが多い。それが災いしているのかな。

 入国審査を受け、現地通貨両替をする。大きな犬が這い回っている、気持ち悪い。その昔日本の光洋精工OBが野犬に噛まれて亡くなっている。被害者が多いのに愛犬家が野犬取締りに反対とか、その心理は解せない。

 昨年聖心女子大生が日本語を教えようとルーマニア空港に着いたら、出迎えのルーマニア人に森で惨殺されたのは記憶に新しい。日本人は甘く見られている。

 ブルガリアのバスからルーマニアのバスに乗り換える。EU圏内であれば乗換なしにバスツアーができるようになるのが望ましい。ブルガリアのバスは良かったが、ルーマニアのバスは一見して古い。だいたいフロントガラスにヒビが入っている。日本ならまず車検が受からない。トルコンのバスなのに、バックとロウに入れたときがガタガタとバスが震動する。こんなオンボロバスは今までに出会ったことはない。ドライバーも苦労して運転していた。

 12時頃ブカレストに到着した。国民の館前でバスストップ。チャウシェスク大統領の遺物ではある。共産党本部前の広場で演説中、野次の坩堝に夫妻はヘリコプターで逃走、なぜか即処刑が世界にTV放送されたのは24年前、今ルーマニアの世論調査でチャウシェスク時代のほうが良かったと言う人が過半数を超えるとか。独裁政治は良くないが、倒しても経済が良くならなければ国民の不満は募ることを証明している。世界一の民主主義国日本でも民社党は自民党をぶっ倒したのはよいが、外交力・原発危機管理能力・官僚を使う能力はない、アベノミクスに惨敗した。民社党の票は共産党よりも少ないとか、批判ばかりしていても国民の幸せはこないことが分かり民社党は選挙で抹殺された。

 ブカレストの街をバスは駆け巡る。その昔プラハ、ブダペストと並び東欧の小パリと言われたというのが信じられない。でかいビル群の裏側に錆がでた建物が壊されずに放置されている。チャウシェスクを悪者にしただけでは政治、経済は良くならない。国民はそのことにもっと目覚めるべきでしょう。ガイドは日本の大阪外大に留学している、優秀なルーマニア人が外国に出て本国に帰り活躍しないのも一理とか言っていた。それは途上国どこでも言える、ブルガリアでも同じ現象とガイドが言っていた。

  ブカレストからシナイアに向かう。ペレシュ城は綺麗な城である。周りの緑にマッチした一幅の画であり、見とれていた。ルーマニア王室の夏の別荘というが、優雅なものである。国の迎賓館として使われているそうだ。ここに泊められたら国賓は喜ぶでしょう。

 シナイア僧院も近くにある。僧院の名前が市の名前とか、よくある話。それにしてもドイツからルーマニアに招聘されたカロル1世、ドイツ風の城とか僧院をよくも建てたものだ。そういえば英国もドイツから伴侶がきている、欧州全体について王室同士の婚姻が多い。純血よりも混血のほうが優秀な種の保存ができる。

 





   

 
    国民の館  チャウシェスク大統領の遺産     旧共産党本部  大統領が演説を中断して屋上から逃亡する     カルロ1世(ドイツから招聘したルーマニア王)と大学図書館
       
      クレツレスク教会 18世紀創立ルーマニア正教会     革命広場 1989年東欧革命最後の血塗られた広場     国立美術館(旧宮殿) を見守るカルロ1世

  ペレシュ城とシナイア僧院

       
      ペレシュ城 カルロ1世建立夏の離宮       ペレシュ城にはドイツ風木組み建築が多い     シナイア僧院
       
      カルロ1世が建立した教会     教会入り口の天井に描かれたフレスコ画      僧院奥の住居と祈りの場

                                                                                                     次へ